ブラジル産プロポリスの品質と生物活性に関する研究

2011年 日本補完代替医療学会

  • 日本大学 薬学部
    安川 憲,野伏 康仁,劉 素延,及川 直毅,津田 有梨香
  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    黒川 昌彦
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,堤 重敏
  • Stateuniversiy of Campinas Y. K. Park

Brazilian propolis has been reported to inhibit influenza virus and herpes simplex virus type 1. We have investigated the 3D patterns of the components of 12 Brazilian propolis by photo diode array detector on HPLC.
As a result,the 3D patterns of propolis were diffrent by the orlgln of plant. The activities of the propolis were diffrent by orlgin of plant, on TPA-induced inframmatory ear edema in mice, inhibitory effct of α-glucosidase and the lipid uptake of 3T3-L1 cells.


【目的】

プロポリスは,紀元前から使用されてきた。近年,ブラジル産のプロポリスが注目を集めているが,欧州,豪州のプロポリスと含有成分や生物活性にどの様な違いがあるのか明らかにされていない。今回,12種類のブラジル産プロポリスについて,含有成分のパターンと数種の生物活性について検討したので報告する。


【方法】

成分の比較は,HPLC(ODS)を用いフォトダイオードアレー検出器を用いて行った。生物活性試験は,マウスの耳殻を用いた発癌プロモーター12−0−tetradecanoylpborbol−13−aCetate(TPA)が誘発する炎症に対する抑制効果,ラット腸管由来のα−グルコシダーゼ阻害試験,3T3−L1脂肪細胞を用いた脂
肪取込試験と,アディポネクチン放出試験について検討した。

【結果】

欧州産プロポリスはポプラ・カバノキ等を材料としているが,今回入手した12種類のブラジル産プロポリスはブラジルの固有の植物種等を基源としており,蜂が集めてくる植物によりHPLCのフィンガープリントに差が見られた。Baccharis dracunculifolia と Baccharis spp. を基源とするものと,それ以外の植物を基源とするものとは明らかに分類できた。B. dracunculifolia の特有成分artepillin C の定量も合わせて行った。生物活性においても,それぞれのプロポリスによって抗炎症効果の強いもの,α−グルコシダーゼ阻害が強いもの,3T3−L1脂肪細胞において脂肪取込を抑制するものなど,基源植物により違いが見られた。

【結論】

プロポリスは,蜂が集める植物の違いにより含有成分が異なり,生物活性にも違いが見られた。プロポリスを使用する際は,蜂が集める植物の基源を確認して使用する必要がある。