三次元HPLCを用いたプロポリスのパターン分析

2010年 日本フードファクター学会

  • 日本大学 薬学部 野伏康仁,  安川 憲
  • (有)アマゾンフード 岡崎祐三, 堤 淳子, 堤 重敏
  • 九州保険福祉大学 薬学部 黒川昌彦

【目的】

プロポリスは、ヨーロッパ、オーストラリア、ブラジル、日本およびその他の国々で生産されている。プロポリスの基本的成分は植物に由来するため、産地により含有成分が異なることが知られている。未知成分を含むサンプルを分析する場合、従来の固定単波長のHPLC/UV法ではピークの同定が溶出時間に限られるため情報不足であったが、特有なスペクトル波形が得られるフォトダイオードアレイ(PDA)検出器を用いることにより、ピークの同定の正確性が増しパターンの全体像を把握することが可能である。今回我々は、産地により含有成分が異なるプロポリスの新たな評価方法の確立を目指して、3次元HPLCパターン分析を行った。

【方法】

プロポリスはそれぞれ10mg/mLになるようにメタノールで溶解し調製した。HPLC装置には、日本分光(株)製LC-2000Plusシリーズ、検出器はMD-2015PDA(日本分光(株)製)を用いた。検出波長は200-500nmを採用した。カラムにはMightysil RP-18GPⅡ column(250mmx4.6mm,5.0μm,KANTO CHEMICAL CO. INC.)を30℃で用いた。移動相は、移動相A:0.5%酢酸、移動相B:アセトニトリルを用い、0min(15%B)→10min(15%B)→70min(100%B)→75min(100%B)→80min(15%B)→90min(15%B)のグラジェント溶離した。流速は1.0mL/min、注入量は10μLとした。
【結果及び結論】1サイクル90minで連続分析を行った。右図に代表的な3Dを示した。フォトダイオードアレイ検出器による三次元クロマトグラムや等高線クロマトグラムにより、プロポリスに含まれる成分の全体像が把握され未知成分の解析が可能であり、多くの有効成分が含まれるプロポリスの分析に有効な方法であり、起源植物の異なるプロポリスの同定が可能であると考えられる。