プロポリスAF-08の抗ウイルス効果

2007年 日本ウイルス学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    清水寛美, 渡辺 渡, 黒川昌彦
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,  堤 重敏

【目的と意義】

我々は、伝統医薬物の抗ウイルス作用について検討し、ウイルス病治療に有効な物質の探索を行っている。これまでに、インフルエンザウイルス感染症に対する有用な新規物質として、ブラジル産プロポリスAF-08を見出した。これは、A型ウイルスの他、B型、タミフル耐性株に対して in vitro で抗ウイルス作用を示した。今回、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス及びポリオウイルスに対する抗ウイルス活性を検討した。また、マウス感染モデルを用いたAF−08の抗インフルエンザウイルス作用機序解明の一環として、感染防御免疫系への賦活作用を検討した。

【材料と方法】

インフルエンザウイルスはA/PR/8/34(H1N1)を用いた。

  1. in vitro による抗ウイルス活性:MDCK細胞を用いたプラツク減少法にて行った。
  2. 感染動物実験:DBA/2マウス(6週令,雌)にウイルス(1600PFU/マウス)を経鼻接種し、AF-08(30mg/kg/day)を7日間経口投与した。感染後1−4日目に採取した肺胞洗浄液(BALF)中のインターフェロン(IFN)α及びγ量およびインターロイキン(IL)-12量を測定した。

【結果】

  1. AF−08のインフルエンザウイルスに対するEC50値は22.6±2.0μg/mlであったのに対し、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス及びポリオウイルスに対するEC50値は>60μg/mlであった。
  2. 感染非投与群と比較して、AF−08投与によるBALF中のIFN-α量及びIL-12量に変化は認められなかった。一方、IFN−γ量は感染3日目に有意な減少が認められた。

【考察】

プロポリスAF−08は、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス及びポリオウイルスに対して抗ウイルス活性を示さなかったことから、インフルエンザウイルス特異的に抗ウイルス活性を有することが示唆された。また、AF−08の抗インフルエンザウイルス作用におけるサイトカンの関与として、マウスのインフルエンザ感染系でIFN-α、IL-12が感染初期に肺局所で誘導され、さらにIFN-γの誘導が惹起されることから、IFN-γ量の低下は、AF−08によるウイルス増殖抑制の結果であり、AF-08が宿主免疫防護能に影響する可能性は低いと考えられた。現在、AF-08のインフルエンザウイルスに対する複製過程への影響を検討しており、あわせて報告したい。