プロポリス(AF−08)の抗インフルエンザ作用

2007年 日本薬学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    清水寛美, 日野 あかね, 渡辺 渡, 黒川昌彦
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,  堤 重敏
  • State University of Campinas   Y. K. Park

【目的】

近年、インフルエンザウイルスに対する薬剤耐性株の出現が問題となっており、インフルエンザ感染症に対する新たな治療効果を持つ物質の探索が必要と考えらる。これまでに、ブラジル産プロポリス(AF-08)が、既存の抗ウイルス薬であるオセルタミビルの比較から、インフルエンザ感染症に対して有効な治療効果を有することを見出した。
今回、AF-08のインフルエンザウイルスに対する広範な有効性を評価するため、A型およびB型ウイルス、さらにオセルタミビル耐性ウイルスを分離し、それらこ対するAF-08の抗ウイルス活性を評価した。また、抗ウイルス作用機序解明の一環としてAF-08によるウイルス吸着阻害作用を検討した。

【方法】

AF-08はエタノール抽出物、インフルエンザウイルスはA型にPR株とそのオセルタミビル耐性株、そのほか3種およびB型1種を用いた。抗ウイルス活性およびウイルス吸着阻害の実験は、種々濃度のAF-08存在下におけるMDCK細胞を用いたブラック減少法あるいはMTT法にて行った。

【結果】

ブラック減少法の結果、インフルエンザウイルスA型およびB型に対してAF-08は抗ウイルス活性を示した。MTT法により、オセルタミビル耐性株に対するAF-08の抗ウイルス活性(EC50)は27.2±0.4μg/ml、野生株に対するEC50は28.5±4.2μg/mlであった。ウイルス吸着時あるいは吸着後のAF-08添加による比較から、その抗ウイルス活性はウイルス吸着後のみに濃度依存的こ認められた。

【考察】

A型、B型ウイルスおよぴオセルタミビル耐性株に対してAF-08の抗ウイルス活性が認められたことから、そのインフルエンザ感染症に対する広範な有効性が示された。AF-08がオセルタミビルとは異なる作用機序を有することがわかった。また、ウイルスの吸着阻害ではなかったことからも、現在、さらこAF−08の作用機序を検討している。