インフルエンザウイルス感染マウスモデルを用いたプロポリスの抗ウイルス活性評価

2006年 日本薬学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部  清水寛美,日野あかね.渡辺渡
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,  堤 重敏

【目的】

インフルエンザウイルス(IFV)によって起こる急性呼吸器感染症、インフルエンザは、近年新興感染症である鳥IFVとの関連性から注目を集めている。その治療には抗IFV治療薬が用いられるが、副作用や耐性株出現の可能性が懸念されており、新たな治療効果を有する物質の検討が必要である。そこで本研究は、多様な生物活性が知られており、食品サプリメントとして使用されているプロポリスに着目し、そのIFV感染症に対する有効性をマウス感染モデルを用いて評価した。

【方法】

プロポリスは13種類の各エタノール抽出物を用いた。IFV感染マウスは、DBA/2マウス(体重17-19g,雌)にIFV(A/PR-8(H1N1), 1000PFUマウス)を経鼻接種し作製した。プロポリスエタノル抽出物(0.4,2,10,50mg/kg)をマウスに1日3回、7日間経口投与し、感染後の体重変化および延命作用を観察した。また、肺胞洗浄液(BALF)中のウイルス量についても感染非投与群と比較検討した。

【結果・考察】

13種類のプロポリスのうち4種類に、10あるいは50mg/kgの用量においてコントロールと比較して有意な体重減少の抑制が見られた。また、これら4種類のプロポリスのうち1種類については、用量依存的に生存期間の有意な延長が認められ、10mg/kg投与時、感染1-4日間におけるBALF中のウイルス量が感染非投与群と比較して有意に減少した。このことは、プロポリスがIFV感染症治療に有効であることを示すと共にウイルス増殖を抑制する物質が含まれていることが示唆された。さらに、プロポリスによるIFV感染症に対するサイトカンの関与についても検討しておりあわせて報告する。