単純ヘルペスウイルス1型感染症に対するブラジル産プロポリスの有効性とその評価

 

2011年 抗ウイルス療法研究会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    黒川昌彦,甲斐久博,吉田裕樹,渡辺渡,松野康二
  • 日本大学 薬学部 安川 憲
  • (有)アマゾンフード  堤 重敏
  • 富山大医学部 白木公康

 【目的と意義】

サプリメントとしてのプロポリスのウイルス感染症に対する有効性を検討するため、マウスの単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)経皮感染系を用いて、15種のプロポリスからHSVl感染に有効な4種(AF−05,06,07,08)を選択し、これら4種のHSVl感染症に対する有効性をinvitroとinvivoで解析した。

【材料と方法】

ブラジルでの植生が異なる場所で採取された4種のプロポリスの成分パターンをHPLCで解析して、成分パターンの異なるAF−06,07,08に着目した。
プラーク減少法を用いて抗HSVl活性を検討した。HSV−17401H株を経皮感染したマウスに、プロポリス(10mg/kg)を経口投与(1日/3回/6日間)し、皮膚病変の進展度、延命効果を、また、感染5 日目に皮膚、脳のウイルス量を検討した。一方、感染4日目に、プロポリス投与マウスの丘氾申adにW不活化HSV−1抗原を接種し、経時的に足の腫脹を計測して遅延型過敏反応を評価した。プロポリス投与あるいは非投与感染マウスから調整した牌細胞を用いてプロポリスの存在下あるいは非存在下でHSVl抗原刺激によるIm−Y産生を検討した。

【結果および考察】

1)4種のプロポリスは皮膚病変の進展を有意に遅延した。2)HPLC成分パターン解析より、AF−06,07,08に着目した。3)AF−07と08は、皮膚あるいは脳でのウイルス量を有意に減少した。4)AF−08だけにin vitroでの抗HSVl活性が認められなかった。5)AF−06と08投与はHSV経皮感染の主要な生体防御免疫と考えられる遅延型過敏反応を増強した。6)AF−08投与群の牌細胞では、HSVl抗原刺激によるI和一Y産生が有意に増加した。7)非投与感染マウス牌細胞では、AF−06存在下でHSVl抗原刺激によるI和一Y産生が有意に増加した。以上の結果、AF−07は主に直接的な抗HSVl活性により、また、AF−06では成分そのものが、Af−08では成分代謝物が、それぞれ遅延型過敏反応を克進して治療効果を示したと考えられた。