抗インフルエンザウイルス活性を有するプロポリスAF-08の活性物質の探索

2010年 日本薬学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    清水寛美, 日野あかね, 渡辺 渡, 澤村 理英, 黒川昌彦
  • 日本大学 薬学部 安川 憲
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,  堤 重敏
  • Stateuniversiy of Campinas Y. K. Park

【目的】

我々は、これまでにブラジル産プロポリスAf-08の抗インフルエンザウイルス作用機序が、ウイルスmRNAの合成阻害にもとづくことを明らかにしている。そこで、AF-08中の活性物質を明らかにするため、MDCK細胞培養系を用いたたプラーク形成抑制とウイルスmRNA合成抑制を指標に、分画したAF-08画分のうち、メタノール-水(MW)抽出物に抗ウイルス活性を有することを見出した。今回、さらにMW画分を分別抽出し、得られた20種類の画分について抗ウイルス活性を評価した。

【方法】

AF-08のMW画分はSephadexLH-20カラムを用いて、まず6種類に分画した(MW-1,2,3,4,5,6)。さらにMW-3を分画した4種類(MW3-1〜3-4)、およごMW-3-1を分画した10種類の画分(MW3-1〜3-1-10)を得た。これら画分の抗インフルエンザウイルス〔A/PR/8/34(H1N1)〕活性は、MDCK細胞を用いたプラーク減少法とリアルタイムRT-PCR法を用いた各画分によるウイルス(M遺伝子)mRNA合成抑制を評価した。

【結果および考察】

プラーク減少法の結果、6種類の画分のうちMW-3に最も強い抗ウイルス活性が認められた(AF-08の比活性の36.2倍)。また、これら画分の6μg/mIを用いてリアルタイムRTPCR法を行った結果、AF-08と比較してMW-3に強いウイルスのmRNA合成抑制が見られた。MW-3の画分4種類およびMW3-1画分10種類を用いて同様の検討をした結果、MW-3-1-1に強い抗ウイルス活性が見られ、さらにMW3-1-1に強い活性が認められた。以上から、AF-08の抗ウイルス活性はMW-3-1-11画分で最も反映されていることがわかった。現在、さらなる分画を行うと共に、それらの成分解析を行っている。