抗インフルエンザウイルス活性を有するプロポリスAF-08の活性物質の探索

2009年 日本ウイルス学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    清水寛美, 渡辺 渡, 澤村理英, 黒川昌彦
  • 日本大学 薬学部 安川 憲
  • (有)アマゾンフード  堤 重敏

【目的と意義】

我々は、これまでにブラジル産プロポリスAF-08が、細胞やマウスを用いたインフルエンザウイルス感染系で抗ウイルス活性を有すことを明らかにした(Antiviral Chemistry & Chemotherapy,19,(2008),7−13.)。また、AF-08の抗インフルエンザウイルス活性は、ウイルスmRNAの合成阻害にもとづくことを明らかにしている(第56回本年会)。そこで、今回AF-08中の活性物質を明らかにするために、プラーク形成抑制とウイルスmRNA合成抑制を指標として、分画したAF-08画分の抗インフルエンザウイルス活性を評価した。

【材料と方法】

AF-08を有機溶媒で分別抽出した抗インフルエンザウイルス活性のあるメタノール・水(MW)画分(第56回本年会で報告)を、さらに、Sephadex LH-20カラムを用いて分画(MW-1,2,3,4,5,6画分)した。これら画分の抗インフルエンザウイルス〔A/PR/8/34(H1N1)〕活性は、MDCK細胞を用いたプラーク減少法を用いて評価した。また、リアルタイムRT-PCR法を用いて、各画分によるウイルス(M遺伝子)mRNA合成抑制を評価した。

【結果および考察】

プラーク減少法の結果、6種類のMW画分の中で3画分(MW-3,4,5)にAF-08より強い抗ウイルス活性が認められた(AF-08の比活性の21.9−45.3倍)。これら活性が認められた3画分を用いて、リアルタイムRT−PCR法を行った結果、AF-08と比較して2画分(MW-3,5)に強いウイルスのmRNA合成抑制が見られた。中でも、最も顕著に抑制を示したのはMW-3画分であり、単位重量での比較でAF-08の8倍の抑制作用が認められた。以上から、AF−08のウイルスmRNA合成抑制作用にもとづく抗ウイルス活性はMW-3画分で最も反映されていることがわかった。このため、MW-3両分には、ウイルスmRNA合成抑制にもとづく抗ウイルス活性を示す物質が含まれていると考えられる。現在、この画分の成分解析を行っている。