ブラジル産プロポリスの抗アレルギー作用に関する検討

2012年 日本薬学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    日高宗明,上地 宏,岩崎 和広,小田祐一郎,山下 ひとみ,坂田 啓,鈴木 彰人,黒川昌彦
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,堤 重敏

【目的】

プロポリスは,ミツバチが植物樹脂等を集めて作成したものであり,民間医療薬として用いられてきた歴史がある。プロポリスには、各種の生理活性が報告されており、様々な用途が期待されているため,近年日本では健康食品として普及している。しかしながら,プロポリスのアレルギー予防効果については未解明な点が多いため,今回ブラジル産プロポリスを用いて,アレルギー予防効果について検討した。

【方法】

ブラジル産プロポリスのエタノール抽出物であるAF-6,7,8,18,19をマウスに1日3回で3日間経口投与した後にI型アレルギーを惹起させて予防効果を評価した。
IgEを耳皮内に投与し感作させ,その翌日に色素と抗原を共に投与することで炎症反応を惹起させ,耳介内への色素の流入塵でアレルギーの強度を評価するpassive cutaneous anaphylaxis reaction(PCA)モデル,および肥満細胞よりヒスタミンを遊離させるCompound 48/80を投与して背中に掻痺感を惹起させ,その部位の引っ掻き行動回数で強度を評価するScratchモデルを用いた。

【結果】

今回用いたプロポリス抽出物の中でAF-8およびAF-18が強いアレルギー抑制効果を示した.PCAモデルではAF-8,AF-18の 100mg/kgの投与で色素漏出を20%程度にまで下げていた.ScrAtchモデルでは10mg雅gの投与量でも引っ掻き行動回数を20%程度にまで減少させていた。また,AF-6およびAF-19は,ほとんどアレルギー抑制効果を示さなかった。

【考察】

本研究によりアレルギー抑制効果を有するプロポリス抽出物があることを明らかにした。プロポリスの継続的な服用がアレルギー予防に繋がる可能性があることを示唆する結束である。今後は,その予防メカニズムについて詳細な検討および有効成分の同定を行う必要があると考える。