プロポリスAF-08の抗イフルエンザウイルス作用機序解析とその活性画分の検討

2008年 日本ウイルス学会

  • 九州保険福祉大学 薬学部 薬学科
    清水寛美, 渡辺 渡, 澤村理英, 黒川昌彦
  • (有)アマゾンフード  堤 淳子,  堤 重敏
  • 日本大学 薬学部 安川 憲

【目的と意義】

我々は、天然物質や伝統医薬物の抗ウイルス作用について検討し、ウイルス感染症の治療に有効な物質の探索を行っている。これまでに、マウスのインフルエンザウイルス感染モデルを用いて、インフルエンザウイルス感染に対してブラジル産プロポリスAF-08が有効な治療効果を有することを見出した。今回、このAF-08の抗ウイルス作用機序を解析すると共に、その活性物質を見出す目的でAF-08を分別抽出し、各画分の抗ウイルス活性を検討した。

【材料と方法】

MDCK細胞にインフルエンザウイルス(A/PR/8/34(H1N1))を感染し、AF-08の存在あるいは非存在下で培養
し以下を検討した。

  1. Yield Reduction Assay;細胞にウイルス(MOI=1)を1時間吸着し、AF08(0-60μg/ml)を含む維持培地を添加した。感染8時間後、各サンプルウイルス感染価を測定した。
  2. Time of Drug Addition Test;1)と同様にウイルスを感染後0-12時間に、AF-08(0.60μg/ml)およびRibavirin(20μg/ml)を含む維持培地を添加した。感染14時間後、各サンプルのウイルス価を測定した。
  3. RT-PCR:1)と同様にウイルスを感染後、AF-08(0,10,30,60μg/ml)を添加し培養6時間後に各サンプルからtotal RNAを抽出し、ウイルス(NP、M、HAの各蛋白質由来)mRNAをRT-PCR法で検出した。
  4. Plaque Reduction Assay;分別抽出したAF-08画分の4種類について抗ウイルス活性を検討した。

【結果および考察】

  1. YieldReductionAssayの結果、感染8時間後、AF-08は濃度依存的にウイルス産生を抑制した。
  2. Time of Drug Addition Testでは、ウイルス感染後8時間までにAF-08を添加した時、ウイルスの複製は抑制された。このことから、AF-08はインフルエンザウイルスの複製過程に影響し、抗ウイルス活性を示すことがわかった。そこで、RT-PCRを実施した結果
  3. 非添加群と比較して、AF-08添加におけるウイルスmRNA(NP、MおよびHA遺伝子)量は濃度依存的に減少した。以上から、AF-08はウイルスの増殖サイクルにおいて、ウイルスmRNA合成以前の段階を抑制していることが明らかとなった。
  4. 4種類のAF-08画分の抗ウイルス活性をEC50値にて評価した結果、AF-08は34.8±8.3上土g/mlであったのに射し、メタノールー水画分は3.2±0.6μg/mlであり、この画分に活性物質が含まれていることがわかった。現在、この画分をさらに分別抽出し、その抗ウイルス活性について検討している。